灘区の篠原には「神戸の護国神社」があります。護国神社とは戦争で亡くなった兵士を祀るための神社です。神戸の護国神社は、1941年に今の王子陸上競技場あたりに建てられました。しかし1945年6月5日の神戸大空襲で神社は焼けてしまいました。今ある護国神社は、1959年11月に場所を移して新しく建てられたものです。
神社には第14飛行団第68部隊第78部隊太平洋戦争戦没者643名が書かれている慰霊碑があります。また、「大戦殉難北方異民族慰霊之碑」という慰霊碑があります。「北方異民族」というのは、北海道の北にある樺太にもともと住んでいたロシア人、キリヤーク人、オロッコ人といった先住民のことです。戦争の時、日本軍は、ソ連の情報を集めるために、彼ら先住民を働かせました。日本が戦争で負けた後、樺太はソ連に占領されますが、樺太に残された先住民は日本に協力した戦争犯罪者として、ソ連によってシベリアに送られます。寒い寒いシベリアで働かされ、多くの先住民が亡くなりました。しかし、日本政府は彼らに対して何の補償もしませんでした。この慰霊碑は、1975年神戸に住む元陸軍少佐扇貞雄氏が代表となり、戦争によって悲しい運命を辿った、彼ら先住民のために建てられたものです。 |